何かあった日の日記・2023年11月25日

 何かあったらブログを書くつもりだったが、なかなか何かあるものでもない。そこで、過去に何かあった日の日記を手帳から抜粋してみた。

 

二〇二三年十一月二十五日

 井伏鱒二展(神奈川近代文学館)。

 一度五時ごろに目が覚めてしまい、六時に朝食をとって二度寝、八時半ごろ起きた。もたもたして十時に家出る。マック(数年ぶり)でハンバーガーを食べる心づもりだったが、がちゃがちゃした雰囲気が嫌になってやめる。

 元町・中華街からアメリカ人公園、港の見える丘公園、と通って文学館へ。途中、予想外に面白く写真を撮って時間が潰れる。展示は意外と人がいて、若い人もいる。図録とはがき二枚買う。

 馬車道で「本は港」をやっているが、行くと絶対にお金を使ってしまうので苦渋の決断で見送る。帰りは元町を通って石川町へ行った。元町はシャッターや空きテナントが目立ち、不景気を感じた。

 冬の寒さ。ダウンの人多し。コート、ニットカーディガン、コットンタートルネック、ジオラインMW、リブパンツ、あったか綿ウールレギンス、メリノウールウォーキングソックス、ブーツ。防寒十分、全く寒くない。むしろ歩いていると暑くなる。コートとカーディガンの前を開けていた。二十分も歩くと汗をかいてしまった。

 上林暁「安住の家」。題と裏腹に主人公一家が不安げにずっと列車で旅しているところから始まる。故郷を追われるように上京した一家が東京に住処を見つける話で、読後感は温かいのだが、作中の妻つまり作者の妻がのちに精神を患ってついに病院で亡くなることを考えると、この一連の心労も妻の心を害したのだったかと思わずにいられなかった。

 歯ブラシ来る。PHILIPS 3100。前のより小さく短くなってうれしい。

 東武トップツアーズより新幹線きっぷ発券開始のメール。券売機でQR読ませる由。

 

補足

 「井伏鱒二展」は「没後30年 井伏鱒二展 アチラコチラデブンガクカタル」

 「本は港」は神奈川県の独立系書店および出版社が集まるイベント。上記で行くのを諦めているのは第2回。第1回(2023年5月開催)に行ったが面白い場で、熱気もあり楽しかった。今年の5月に開催される第3回はできれば行きたい。

 上林暁は昭和の小説家。「病妻もの」を初めとする私小説で有名。はっきり言って地味な作家だが、しみじみと味わい深く、選集『文と本と旅と』で気に入ってうっかり全集を買ってしまった。二度の脳出血で体が不自由になるも、妹・徳廣睦子の口述筆記により執筆を続けた。作品は地味だが、私小説を我が道と定めてひたすらに進んだ文学の鬼だと思う。